糖質オフダイエットの人気はあいかわらず続いていますね。
一方で、糖質オフダイエットのリスクに関する情報も紹介されるようになりました。
どんな健康法も偏った観点からしか見ないのでは、正しく理解することはできません。
糖質オフダイエットは、その効果を体感する人も多く話題になる一方で、糖質を悪者扱いするような極端な情報も多々見受けます。
ごはんと砂糖を同じ糖質として、ご飯を食べることのリスクを誇大に表現した情報もそのひとつです。
ごはんは確かに糖質を多く含みます。
ですが砂糖と同じ糖質という表現は大雑把で、誤解につながりかねません。
ここでは、糖質とは何かということをあらためて確認したうえで、米と砂糖の違い、そして体に優しい甘味料についてまとめます。
ご飯と砂糖の違い
炭水化物と糖質の種類
炭水化物のうち、食物繊維以外のものをまとめて糖質と言います。
糖質は、1gあたり4kcalのエネルギーを発生します。
エネルギー源として最も重要であり、またタンパク質や脂質と結合して、細胞膜などを作る成分にもなります。
「糖質」とひと言でまとめることが多いですが、実はいくつかの種類が有ります。
大きく分けると、「単糖類」「二糖類」「多糖類」の3種類。
その3種類はさらに細分化出来ます。
単糖類には、「グルコース(ブドウ糖)」「フルクトース(果糖)」「ガラクトース」などがあります。
二糖類は2つの単糖類が結びついてできたもので、「スクラロース(ショ糖)」「マルトース(麦芽糖)」「ラクトース(乳頭)」などがあります。
多糖類はたくさんの単糖類が結びついてできたもので、「デンプン」「オリゴ糖」「グリコーゲン」などがあります。
問題の「砂糖」は、「二糖類」のうちの「スクラロース(ショ糖)」です。
ショ糖は単糖類の「ブドウ糖」と「果糖」が1分子ずつ結合したものです。
それに対し、ごはんに含まれる糖質は、多糖類のデンプンです。
つまり、両者は同じ糖質ながら、構成成分が異なるのです。
糖質と一口にいっても、そのなかには単独の分子の糖と複数の分子がくっついて一つの結晶になっているものがある事を考慮しなければいけません。
デンプンとは
ごはんに含まれる糖質「デンプン」について見ておきましょう。
デンプンは、米などの穀類だけでなく、いも類や豆類などの植物性の食品に多く含まれます。
それ自体には甘みはありません。
デンプンは、多数のグルコースが結合してできています。
この結合の違いで、「アミロース」と「アミロペクチン」に分かれます。
同じ米でも、うるち米ともち米ではモチモチ感が異なりますが、これはアミロースとアミロペクチンの割合によって、性質に違いが出ているのです。
単糖類と多糖類の吸収スピード
単糖類は糖の最小の分子で、それ以上小さくなりません。
そのため吸収がとても速いのです。
二糖類は2つの異なる分子がくっついているので、一旦単糖類に分解してから吸収されます。
そのため、単糖類よりは吸収に時間がかかります。
同じ原理で、多糖類は二糖類よりも更に吸収に時間がかかります。
デンプンの消化吸収
ごはんを食べると、デンプンがだ液に含まれるアミラーゼという消化酵素によって、二糖類の麦芽糖に分解されます。
だ液で麦芽糖になりきれなかったデンプン は、十二指腸で完全に麦芽糖になります。
この麦芽糖が小腸にたどりつくと、単糖類のブドウ糖に分解されます。
デンプンは、この過程を経て体に吸収できるようになります。
つまり、ごはんに含まれる糖質デンプンは、二糖類の砂糖に比べると消化吸収が緩やかで、血糖値をあげにくいのです。
こうした性質の相違を考慮すると、砂糖とごはんを単純に置き換えることは出来ません。
ご飯と砂糖の成分比較
ご飯100gに含まれる糖質の量は、およそ37gです。
これに対し、上白糖100gの糖質の量は、99.2gです。
この数値から分かるように、砂糖を構成する成分はほぼ糖質ですが、ご飯はそうではありません。
ご飯100gを構成する成分を見ると、水分60g、たんぱく質2.5g、脂質0.3g、糖質37gです。
そのほかにも、ビタミン類やミネラル類も含んでいます。
こうした構成成分を持つ、ごはん100gのカロリーは168kcalです。
これに対し、上白糖100gのカロリーは384kcalです。
ごはんと砂糖に含有される「糖質」だけに注目した比較にあまり意味が無いことは、トータルパッケージとしての構成要素に注目することでも分かります。
食品は、栄養素の集合体です。
その食品を評価するには、どのような栄養成分を持つものなのかトータルパッケージで評価するべきですね。
その観点から見ると、砂糖は99パーセントが糖質で、残り1パーセント中に若干量の水分とミネラル類が入っています。
それに対してご飯は、37パーセントの糖質、残り63パーセント中にタンパク質・脂質・ビタミン類・ミネラル類・食物繊維も含む食品です。
このように、食品を構成する栄養素のパッケージとしてとらえると、ごはんを単なる糖質にまとめてとらえることはナンセンスです。
加工品の糖質を角砂糖に換算すると
ごはんの糖質は多糖類のデンプンです。
二糖類のショ糖で作られる「角砂糖」に換算して「何個ぶん」と短絡的には言えません。
ですが、つい手が出てしまう飲料や嗜好品は砂糖を使って加工したものが多いため、その糖質量を角砂糖に置き換えて見ることは、糖質の過剰摂取を避ける指標になると思います。
コーラの糖質は350ml缶でおよそ39gです。
これは1つ4gの角砂糖に換算すると10個分にあたります。
ミルクチョコレート1枚あたりの糖質はおよそ28g。
角砂糖に換算すると7個分です。
缶コーヒー1本185g中、糖質は12g程度含まれます。
角砂糖に換算すると3個強です。
スポーツ飲料500mlの糖質は23g程度。
角砂糖6個弱にあたります。
身の回りにある加工食品には糖質を多く含む物があります。
こうした食品を控えることで、余計な糖質をカットすることは大切ですね。
体に優しいおすすめの甘味料
料理の味わいを引き出すために、砂糖は欠かせません。
ですが、二糖類の砂糖は消化吸収率が速いため、血糖値に影響するなどのデメリットもあります。
白い砂糖は精製されています。
砂糖を作る過程で不純物を取り除き、甘みだけを抽出するのです。
この過程で、原材料のさとうきびに含まれる栄養成分は失われています。
ですが、砂糖には完全に「精製されていない」タイプもあります。
完全に精製されていないため、茶色い色が残っています。
このタイプに挙げられるなど「黒糖」・「てんさい糖」を上手に利用しましょう。
黒砂糖はサトウキビのしぼり汁を、そのまま煮詰めたものです。
未精製なのでミネラルがとても豊富です。
コクがあるので、少量でも料理の味わいを引き出します。
てんさい糖の原材料はサトウキビではなく、砂糖大根(ビート)です。
オリゴ糖を多く含んでいます。
オリゴ糖はプレバイオティクスとして腸内の善玉菌のエサとなります。
腸内環境を整えるには、ヨーグルトなどの乳酸菌のような善玉菌を摂取する時に、善玉菌のエサとなるオリゴ糖を摂取して、善玉菌の活性化を促進するとよいですね。
また、糖質を抑えるには羅漢果もおすすめです。
「羅漢果」は、中国の桂林にのみ自生するウリ科の植物です。
古くから漢方として親しまれています。
「ラカント」という商品は、スーパーマーケットなどでも手軽に入手出来ます。
ラカントは羅漢果ラカンカの高純度エキスとトウモロコシの発酵から得られる天然の甘味成分「エリスリトール」で作られたカロリーゼロの甘味料です。
血糖値に影響がでないので、糖質をコントロールしたい場合には便利な調味料です。
砂糖と同じ甘さなので、とても使い易いです。
また、砂糖のデメリットを排除して、血糖値を上げにくくしながら、砂糖のスッキリした美味しさを残した「パラチノース」もおススメです。
健康指向の強い様々な加工品に使われています。
過剰な甘さに慣れることは良くありませんが、甘さは美味しさでもあります。
むやみやたらに我慢するより、上質な甘味料の選択と活用をおすすめします。
ご飯と砂糖の違いまとめ
糖質の摂取のし過ぎは太るだけでなく、健康にも深刻な影響を及ぼします。
ですが糖質は効率的なエネルギー源として重要で、摂取すべきものでもあります。
極端な意見に振り回されて、すべての糖質を悪者扱いするのではなく、体に必要な糖質とカットすべき糖質を見極めたいものですね。