スーパー大麦とはオーストラリア連邦科学産業研究機構が開発した非遺伝子組み換え大麦です。
日本では「スーパー大麦」の呼び名が一般化していますが、正式には「バーリーマックス®」(帝人)。
この「スーパー大麦バーリーマックス®」がスーパーフードと呼ばれるのは、その「食物繊維」と「レジスタントスターチ」の驚くべき多さに由来します。
ここでは、他の穀物との栄養成分の違いを対比しつつ、スーパー大麦の栄養・健康効果をひも解きます。
バーリーマックスに含まれる栄養の効果
食物繊維の宝庫「大麦」とは
「麦ごはん」として古くから日本で愛されてきたのが「大麦」です。
大麦は優れた栄養価を持ちます。
カルシウムは精白米の3倍、カリウムは2倍です。
食物繊維は、およそ精白米の17 倍、サツマイモの4倍を含有します。
食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2タイプがあります。
大麦は、この2種類の食物繊維をほぼ半量ずつ含んでいて、理想的なバランスだと言われています。
食の欧米化にともない、日本人の食物繊維摂取量は減少しています。
それに伴い年々増加する生活習慣病予防に力を発揮する食物繊維は、5大栄養素につづく「第6の栄養素」として重視されています。
厚生労働省では食物繊維の1日当たり目標摂取量を男性19g以上、女性17g以上と定めています。
バーリーマックス(スーパー大麦)は大麦よりも食物繊維が多い
食物繊維の多さを誇る大麦ですが、「スーパー大麦」は、それ以上の食物繊維を含有します。
大麦の総食物繊維率は、およそ9%。
これに対し、「スーパー大麦」は21%。
大麦の2倍に上る含有率です。
また、スーパー大麦も大麦と同じく水溶性の食物繊維量と不溶性の食物繊維を含みます。
ですが、スーパー大麦は普通の大麦にはあまり含まれないタイプの食物繊維を含有しており、それがスーパー大麦を特徴付けて居ます。
バーリーマックス(スーパー大麦)に含まれる水溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、穀類・野菜・豆類・キノコ類・果実・海藻などに含まれています。
胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して便通を促進します。
一方、水溶性食物繊維は大麦・昆布・わかめ・果物・里いも・オーツ麦などに含まれています。
水溶性食物繊維は、肥満や動脈硬化など生活習慣病の予防効果が期待されています。
大麦にも多く含まれていて、その健康効果が以前から話題になっていた水溶性食物繊維に「β−グルカン」があります。
スーパー大麦は、この「β−グルカン」を多く含むだけでなく、大麦にはあまり含まれていない水溶性食物繊維の一種「フルクタン」も多く含みます。
水溶性食物繊維β-グルカンのパワー
「β−グルカン」の特徴的な効果に、糖質の吸収を抑えることがあげられます。
「β-グルカン」は、水に溶けると水分を吸収してゼリー状に固まる性質があるため、食べ物を包み込んで、消化管をゆっくり通ります。
そのため食べものの吸収スピードを緩め、血糖値の上昇を抑える作用が期待されています。
コレステロールの正常化や、満腹感の維持作用についてもその効果が認められています。
水溶性食物繊維フルクタンのパワー
「プレバイオティクス」という言葉はご存知でしょうか?
プレバイオティクスは、消化管上部で分解・吸収されず、大腸に共生する有益な細菌の栄養源となり、大腸の腸内フローラを健康的なバランスに改善します。
このプレバイオティクスとして有名なのが「フルクトオリゴ糖」です。
フラクとオリゴ糖にフルクトースが多数結合した多糖を「フルクタン」と言います。
体内で消化されにくい、食物繊維の一種です。
消化されずに腸に届き、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌のエサとして働き、腸内環境を整えてくれるのです。
バーリーマックスに含まれるレジスタントスターチ
スーパー大麦は、普通の大麦に比べ、4倍のレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を含みます。
「レジスタントスターチ」は水に溶けない「でんぷん」の一種です。
「健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのないでんぷんおよびでんぷんの水解物の総称」と定義されています。
食物繊維と成分は異なりますが、体内で食物繊維として働きます。
食物繊維が体内でビフィズス菌などの栄養として働くように、レジスタントスターチもビフィズス菌を増やす働きに優れています。
「レジスタントスターチ」は水に溶けない不溶性です。
そのため、水分を吸収してそのまま保つ性質をもち、満腹感を持続させます。
スーパー大麦の3つの食物繊維
このようにスーパー大麦は、水溶性及び不溶性3つの食物繊維、β‐グルカン・フルクタン・レジスタントスターチを含有します。
3つの成分は分子の大きさが異なっています。
フルクタンが一番小さく、次にβ-グルカン、そして一番大きいのがレジスタントスターチです。
分子が小さいものほど、発酵速度が速く、分子が大きいものほど、発酵速度が遅くなります。
発酵速度の違う3つの食物繊維が、腸の入り口から「腸の奥」まで段階的に届くのです。
水溶性食物繊維のほとんどは小腸と大腸の上部にすんでいる腸内細菌で消費されてしまいます。
そのため、大腸の奥に住む有用菌は栄養不足になり、悪玉菌が優勢になりやすいのです。
悪玉菌が活発に働くと毒素を作り出し、大腸の奥の腸内環境が悪化します。
スーパー大麦は、不溶性・水溶性の食物繊維からなる細胞壁がレジスタントスターチを包み込むコンプレックス構造となっているため、レジスタントスターチを大腸の奥までしっかりと届ける事が出来ます。
通常の食物繊維が届きにくい大腸の奥まで届く「レジスタントスターチ 」を高含有するのがスーパー大麦の最大の特徴とも言えるでしょう。
バーリーマックス(スーパー大麦)はダイエットに効果的なのか
腸内細菌には、消化されたものを体内に溜め込んでしまう「ファーミキューテス」という菌が存在します。
肥満の人ほどファーミキューテス類の腸内細菌が多いという研究報告があります。
一方、「バクテロイデス」と呼ばれる菌も存在します。
バクテロイデスは、脂肪細胞に働きかけて脂肪の吸収を抑えたり、脂肪の燃焼を促進させる働きを持っています。
つまり、太りにくく、痩せやすい体質になるためには、「バクテロイデス」の割合増やし、「ファーミキューテス」の割合を減らさなければいけません。
そのために求められるのが、善玉菌が多い健康的な腸内環境なのです。
つまり、大腸まで届いて善玉菌の栄養源となるレジスタントスターチを多く含むスーパー大麦は、腸内環境を整えて、「バクテロイデス」の割合を増やすためには有効な食品だと言えるでしょう。
また、β−グルカンは、食べ物を包み込んで消化管をゆっくり通過して、血糖値の上昇を抑える作用が期待されています。
血糖値が安定することで、強い空腹を感じにくく、また満腹感の維持作用についてもその効果が認められています。
食べ過ぎの防止にも効果的です。
もちろん、体脂肪を減らして痩せるためには、摂取カロリーと消費カロリーの収支決算がマイナスになること、またそれを推し進めるために、運動量を増やして消費カロリーをアップさせることが大切です。
その意味では、食べるだけで痩せる食べものは存在しません。
ただ、痩せやすい体内環境を作るために、食べものを選択する事は重要です。
その意味では、スーパー大麦は「痩せ体質を作る」食べ物として積極的に選択したいですね。
バーリーマックス(スーパー大麦)の食べ方とおすすめ商品
スーパー大麦を誰でもすぐに手軽に食べる為には、加工された商品がおすすめです。
だいずデイズの「蒸しスーパー大麦」
スーパー大麦をふっくらと蒸し上げた商品です。封を開けてそのままサラダのトッピングやスープの具などに使えてアレンジ自由の手軽さが嬉しいですね。
はくばくの「スーパーフードバーリーマックス」
調理が必要なタイプです。15~20分ゆでてから、好みの料理にトッピングしても良し、お米と炊飯しても美味しくいただけます。スーパー大麦を手間無く日本の食卓に上手に取り入れるなら、ごはんと一緒に炊くのが良いかも知れませんね。
スーパー大麦を混ぜる量は、白米の1/4程度にすると食べやすいようです。
慣れて来たら、配合割合を増やしてみても良いでしょう。
バーリーマックスの栄養と効果まとめ
スーパー大麦を食べるだけで痩せるわけではありません。
ですが、スーパー大麦を食べると腸内環境を整える効果が期待でき、それによりやせ体質に導いてくれるのです。
また満腹感が長い時間続くことで、食べ過ぎが防止出来ます。
また生活習慣病などの予防など、うれしい健康効果も期待できます。
いつもの食事に無理なくちょい足しすることで、体質改善・栄養・健康効果のアップを狙ってみてはいかがでしょうか。